【考察ノート:80】エヴァを上手・下手の技法から考察する




みなさんお久しぶりです。

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今回は、アニメーションの技法から新劇場版エヴァを考察していきたいと思います。

謎考察というよりは、アニメーション考察なので、難しく考えなくてOKです👍🏼



上手・下手(かみて・しもて)


まず読み方ですが、今回は「じょうず・へた」の話ではありません😅
舞台用語の「かみて・しもて」の話です。
ご存知の方も多いと思いますが、それぞれ観客から観て右側が上手、左側が下手となります。
そして、演者は基本的に上手から登場し、下手側に去っていくというルールがあります。

一見全く関係の無い文化ですが、実はアニメーションの多くがこの原則に従っており、例に漏れずエヴァンゲリオンも右から左へストーリーが展開されているのです。
と、聞いただけではあまりパッとしないかもしれないので、今からお見せする参考画像の数々をぜひご覧下さい。


使徒、襲来


まず手始めに使徒の登場シーンから。
これらよく見慣れたシーンは、全て右から、すなわち上手から巨大生物が接近し、戦闘パートが始まります。

もちろん、ただ都合のいいシーンを集めた訳ではありません。
残りの使徒の登場シーンを見てみましょう。
今度は逆に左側(下手)から登場する使徒を集めてみましたが、全てに共通する点は、同じ場面内で右側(上手)からエヴァが迎撃しているということです。

迎撃する側が上手、殲滅される側が下手に配置されることで、右攻め・左受けの構図になっているのです。
そして殲滅された使徒は下手から去り、勝者は上手というシーンもよく見られます。
ちなみに残りの使徒は第6、第8、第12、第13ですが、全て右左ではなく上下からのフレームインや空からの落下なので例外です

戦闘シーン


使徒の登場シーンは上記のようになりましたが、実際の戦闘シーンはどうなのかというと、こちらももちろん上手・下手の原則に従っています↓
特に第6、第9、第10の使徒などは顕著ですね。
初め上手側から登場した使徒に対し劣勢ですが、その後立ち位置が逆転し、上手が攻めとなって一貫しています。
もはやヤシマ作戦などはエヴァファンなら本能で上手が攻めというのを理解している気がします😅

その他たくさんをまとめたのがこちら↓
下手に逃げようとしたMark.9に対し、上手から走ってきた8号機が銃を撃ったり、
ヴンダーに対し下手からビームを当てたにも関わらず、上手側から攻めのMark.9を描くところなどは顕著な例です。

もちろん戦艦バトルも↓

エントリープラグ挿入や、戦闘艦橋、飛行方向など、全て上手側↓

非戦闘シーン


ここまで激しい戦闘シーンを例に集めていたので、今度は少し落ち着いたシーンを集めてみました↓
ただ歩いているシーンなどは、基本的に全て原則通りです。左から右に歩く人間を見つけるのは逆に難しいです。

次は入室・退室シーン↓
上手から出て、下手に抜けるという原則に忠実ですね。


対話シーン


ここまで進行方向の話に限定してきましたが、次に対話シーンについて、上手・下手の立場関係を考えていきます。

舞台劇のルールでは、基本的に上手側に立場の強い人間や話し手が並び、下手側に比較的立場の弱い人間や聞き手というのが並ぶそうです。
それを踏まえて以下のシーンを考えてみましょう。
左上端の2人組は、ヤシマ作戦直前で右が綾波、左がシンジです。
一見逆に感じるかもしれませんが、この時シンジはまだパイロットとしての適正も低く、レイと比べれば弱者でした。
「強いんだな…綾波は」ってことです

その他のシーンでも、右側が話し手(攻め手)、もしくは立場の強い人間となっていると思います。

追記:一方↓この綾波は珍しく下手側から登場しますが、明らかに弱者として表現されていると思います。


また、主人公のシンジの場合、視聴者の気持ちを乗せやすいように右側に配置することも多いようです↓

余談:怒られるシンジくん

シンジくんは怒られる時、常に下手側にいます。これも右攻め・左受けの構図ですね。

余談:鳥


鳥もこの原則に従います。偉いです。

原則に従わないパターン


これまで上手・下手の原則に従うシーンを紹介してきましたが、もちろんこれで終わりではなく、例外も紹介しなければなりません。


まずはその中でも、理にかなったシーンから

例えば↓この2号機は、下手から上手に走っていますが、当然この局面は3機がそれぞれの方向から使徒を受け止めるため疾走するシーンなので、道理に合っています。

他には、部屋の構造上仕方ない場面や、相対関係的に右に動くシーンなどがあります。
教室のドアがどこも右側なのは、上手の原則かもしれないですね

そして、合理的な理由なしに例外となるシーンをまとめると、明らかに:Q以降に偏っています。その例はこちら↓

これらは時代が変わり、新しいアニメーションの文化になってきたというのもあるでしょう。
今集められた例外はこれでほぼ全てだと思いますので、もちろんその他の多くのシーンでは原則が色濃く残っています。


そんな中、:破の時点から合理的な理由なしに下手側から登場するシーンはわずかながらあり、それを集めたのが以下のシーンになります↓
ご覧になって分かる通り、マリと加持さんの2人だけは、なぜか下手側から現れることが多いのです。
原則に従えば、明らかに上手から登場できるシーンでも、それを無視して登場します。
さらに言えば、下手側からのエントリーが行われるのは4作通してマリだけなのです。

これらをまとめて考えると、自然と右から左に進んでいく物語の中で左から現れるキャラクターというのは、何かイレギュラーな存在だったり、アドリブ的な登場という印象付けをする効果があるのではないかと思います。

実際にマリはTV版にはいないキャラクターであり、旧シナリオのエヴァを“破”壊したキャラクターとも言えるので、従来のアニメーションの枠を超えたキャラクターという意味では、狙ってこの演出がされているのかもしれませんね。


まとめ


今回は、総勢138のシーンを観ていくことにより、エヴァのアニメーションが舞台劇の上手・下手の原則に従ってストーリーが展開されていることが分かりました。
また、原則に従わないシーンでは、物語のイレギュラー的な存在として、マリと加持が特別な表現をされているのではないかと考えました。

これを踏まえてエヴァを観てみると、また面白い発見があるかもしれませんね👍🏼


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画像引用:©khara/Project Eva.
©カラー/EVA制作委員会

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